シンガポールの利点・欠点

どこに留学しても、それぞれ良い点・悪い点があります。

ここではシンガポール留学の利点だけでなく、欠点もお伝えします。

シンガポールの利点・欠点を優先事項や他の候補国と比べ、慎重に留学先を決めてください。

シンガポール留学の利点

その1 治安が良く安全な国、女性も安心

シンガポールは世界的にみても治安が良い国です。

日本人留学生が多いアメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア・フィリピンのどこよりも低い犯罪発生率を誇っています。

スリや泥棒といった犯罪はありますが、日本と同じ常識的な行動を心掛ければ、日々の生活で危険な目にあうことはまずありません。

在シンガポール日本国大使館 安全の手引きより抜粋
『過去 10 年間の犯罪認知件数の状況を見てみますと、2006 年以降、年間 3万~3万3千件で推移しています。同期間、シンガポールの人口は微増していますので、対人口比犯罪件数(人口10 万人当たりの犯罪発生件数を「犯罪発生率」といいます)については、減少傾向にあり、2015年は 586 件でした。この586 件という数値は、他の国と比較してもかなりいい部類に入ります(日本における 2013(平成 25)年の刑法犯の発生率は 1,580 件となっています(法務省「平成 25 年版犯罪白書」))。統計基準も違うので、単純な比較はできませんが、それでもシンガポールの治安は引き続き良好な状態を維持していると言えるでしょう』

その2 様々な民族が生活する多民族国家

シンガポールは華人・マレー人・インド人などが住む多民族国家です。この3民族は宗教も、仏教(道教)・イスラム教・ヒンズー教と分かれています。

そのため、小さな国ですが、料理・言語・風習・宗教など様々な文化を身近に体験できます。

例えば、朝は中華のお粥、昼はナシゴレン(マレー風炒飯)、夜はインドのカレーなんてことを普通の生活でしかも低予算で出来てしまいます。

また人口560万人のうち、3分の1は日本人を含む外国人。

シンガポール随一の繁華街であるオーチャードロードを少しでも歩けば、英語・中国語・マレー語はもちろん、日本語・韓国語・タイ語・タガログ語・インドネシア語・ドイツ語・フランス語など世界中の様々な言葉が飛び交っています。

まるでリアルな『イッツアスモールワールド』のような国、それがシンガポールです。

その3 英語は世界共通語、様々な英語に触れる

シンガポールは英語・中国語・マレー語・タミール語が公用語。

学校では英語を教育言語として使用、ビジネス文書や政府機関の文書も全て英語が使われており、アジアで唯一、公的にも実社会でも英語使が日常的に使われている国です。

これからの時代、アメリカ英語、イギリス英語にこだわっているのはナンセンス。

3人に1人が外国人のシンガポールでは、様々な母語を持つ人々がそれぞれのお国訛りで堂々と英語を使っています。

英語に苦手意識を持っていたり、間違ってはいけないという完ぺき主義の傾向がある日本人にこそ、シンガポールで様々な英語に触れることで、英語アレルギーを取り除いて欲しいと思います。

その4 成長を続ける東南アジアの中心都市

東南アジアの優等生として、シンガポールは目覚しい経済発展を遂げました。

コンパクトな都市国家、整備されたインフラ、英語が共通語、治安の良さ、近隣諸国へのアクセスの良さなどから、東南アジアやアジア太平洋地域のビジネス拠点として、シンガポールの有利は当分変わらないと思います。

特に近年は日本から多くの企業がシンガポールに進出、東南アジアやアジアはもちろん、グローバル戦略の拠点として、物流・金融・情報・教育・人材・採用などあらゆる分野のハブとしてシンガポールを活用しています。

その5 近隣諸国に手軽に旅行

シンガポールの広さは東京23区とほぼ同じ。旅行=海外旅行です。

橋で繋がるマレーシアのジョホールバルへパスポートを持って夕食を楽しんだり、船で1時間弱のインドネシア・ビンタン島では日帰りでビーチリゾート気分を味わえます。

週末を利用して、バンコク・プーケット・ホーチミン・アンコールワットなどへは飛行機で1~2時間程度、エアアジアに代表される格安航空会社も充実、往復1~2万円程度~で航空券を購入できます。

東南アジアは国によって様々な表情を見せます。留学中に東南アジア各国を訪れることが出来るのはシンガポール留学の醍醐味です。

その6 現地就職の可能性

シンガポールは人が資源、能力ある外国人の雇用には積極的です。

一般的に外国人の雇用は自国民の失業に繋がるという懸念がありますが、都市国家であるシンガポールは、例えば東京の雇用を東京出身者だけでは賄えないのと同様、シンガポール人だけで賄うことが出来ず、現在の発展も外国人の雇用があったからこそと言えます。

その為、男女を問わず多くの日本人がシンガポールで働いており、シンガポールを拠点に東南アジア中を出張で飛びまわっている方もいらっしゃいます。

就職先は日系企業が中心ですが、外資系企業や地元企業でも日系顧客担当として求人は数多くあります。職種も一般的な営業・カスタマーサービスを始め、様々な分野で求人があります。

但し就労ビザ取得には学歴・職歴が重視され、板前等の特殊な職業を除き、四大卒以上の学歴・3年程度以上の職歴が求められることがほとんどです。そのため、新卒や四大卒未満の学歴の方はハードルが相当高くなってしまいます。

ただし、ここ数年は就労ビザの審査基準を上げていますが、欧米諸国に比べればまだまだ就職しやすい国といえます。

その7 日本人が住みやすい環境

シンガポールの日本人人口は3万5000人以上、住民の約150人に1人は日本人です。

日本人の多くは日系企業の駐在員とその家族、そのため、日本人向けの商品・サービスの充実度は海外でもトップクラス、一般的に必要なモノはほとんど手に入ります。(例えばおせち料理やひなあられ等の季節商品も日系スーパーで入手できます)

日本人には世界で最も生活しやすい外国の1つと言われています。

その8 日本からのアクセスがとても便利

東京(成田・羽田)・名古屋・大阪・福岡の各都市からシンガポールへ直行便が就航しています。

飛行時間は約6~7時間、時差もわずか1時間(時差ボケ無し)です。

最近はエアアジア、ジェットスター、スクート等の格安航空会社を利用される方も増えています。

アクセスが良いため、留学中にご両親やお友達がシンガポールに遊びに来ることも多いです。

シンガポール留学の欠点

欠点その1 シンガポールのイメージの良さ

最近、日本のメディアでシンガポールが取り上げられることがとても多くなりました。日本経済が低迷するなかシンガポールの経済成長や企業の東南アジア進出拠点として、シンガポールに熱い視線が向けられています。またSMAPのCMによって、マリーナベイサンズに泊まるツアーも大人気になっています。しかし実際の生活において、マリーナベイサンズはシンガポールでは非日常的な場所であり、メディアで取り上げられるような見栄えの良いところばかりではありません。六本木ヒルズを見て、日本のイメージを持ってしまうのは間違っているのと同様、メディアで取り上げられるシンガポールはシンガポールのほんの一面にしか過ぎません。この日本でのイメージとのギャップが年々広がっているように感じます。

欠点その2 英語・中国語に独特の訛りがある

元々、英語・中国語(北京語)はシンガポール人にとって自分の母国語ではありませんでした。その為、文法が簡略化(時制の変化をあまり気にしない等)されていたり、発音やイントネーションが違っていたりします。シンガポールの英語が通称シングリッシュと呼ばれる所以です。有名なところでは『OK』の後に、『ラー』を付ける『オッケーラー』でしょうか。日本語の『○○ね』のような感じです。
シンガポール人にとって英語はコミュニケーションの道具、難しい言い回しは避け、少ない語彙でシンプルでストレートな表現が多いです。英語が苦手な方にとっては、このシンプルな表現は逆に都合が良く、正しい英語を話そうとして言葉が出てこないという日本人には逆に参考にしてもらいたいくらいです。
もちろん語学学校ではネイティブの教師による正確な英語・中国語を学習できるほか、テレビのニュース番組などのアナウンサーは標準的な英語を使っているのでご安心ください。しかし普段の生活の中でシンガポール人と話す時、どうしても相手の影響を受けてしまいがちですので、意識して話す必要はあります。

欠点その3 高い住宅費

シンガポールで物価が安いのは、食費・交通費・衣料費。反対に高いのは住宅費と自動車。自動車は公共交通が発達しており、留学生が必要になることはありませんが、住宅費は悩みの種です。国土が狭い為、住宅費は東京並みかそれ以上。よほどお金に余裕がない限り、学生寮に入るか、シンガポール人の家庭に間借りするしかありません。住宅費にいくらかけるか、シンガポール留学の総予算を大きく決定する部分です。

欠点その4 日本人が多い環境

先に良い点でご紹介したように、シンガポールに住む日本人は2万5000人以上。そのうえ日本人の行動範囲はほぼ決まっていますので、意識しないと日本人だけで固まってしまいがちです。日本人が多いということは心強い点でもありますが、語学学習という点ではデメリットにもなります。ただしこれだけ多くの日本人が海外で生活する時代なので、これはシンガポールだけの問題ではありません。
またシンガポールの場合、日本人は多くても、日本人全体に占める留学生の割合はとても少ないのが特徴です。日本人の多くは駐在員とその家族が占めており、大学の同窓会や県人会も多数あります。こうした場に参加して、海外で働く日本人と出会い、話を聞くことも、特に大学生には今後の進路を考えるうえで貴重な経験が出来ると思います。

欠点その5 国民性の違い

国民性の違いはどこに留学しても感じることなので、これは欠点ではありませんが、理解して頂きたいことなのであえてここに加えました。特にシンガポールの場合、中華系が多くを占め、街の様子も日本のモノが溢れており、日本と余り違いがないので、つい同じ感覚の持ち主だと勝手に解釈してしまうことがあります。しかしそれはまったくの勘違い。同じシンガポール人でさえも民族性はそれぞれ違います。欧米人なら外見の違いで国民性の違いも納得しやすいのですが、シンガポール人は見た目の差が少ないだけに、そのギャップに民族性や文化の違いにストレスを溜めてしまう日本人も見られます。英語が公用語でも基本的に中華系が大多数を占める中国文化圏であることを忘れないでください。