【Q&A】 四大の新卒です。就職は難しいですか?

新卒の方のシンガポールでの就職は相当厳しく、積極的にはお勧めしません。

最近は「グローバル人材」という言葉がもてはやされたり、「セカ就」という言葉まで出てきていますが、だからといって、新卒で海外で就職するのは簡単なことではありません。

理由は2つあります。

1)新卒の方には就労ビザ発給が厳しい

外国で働くには、その国に貢献できるだけの何かを持っていなければならず、その国の国民では代替できない人材であることが重要になり、就労ビザの審査でもその点が重視されます。

新卒で就業経験が無い方は、この部分で政府に対してアピールすることが難しく、就労ビザ審査の厳しさは就業経験のある方に比べて、雲泥の差があります。

2014年1月からシンガポールの就労ビザ(EP)の審査規定が引き上げられ、新卒の方は今まで以上にビザの審査が厳しくなりました。具体的には就労ビザ発給の最低給与条件が$3000から$3300以上に引き上げらました。更に2017年1月からは、$3600以上に引き上げられました。参考:円シンガポールドルレート

シンガポールの四大卒(3大学のみなのでレベルが高い)の平均初任給が$3000程度であり、同等レベル以上の給与を得なければなりません。日本の四大卒初任給よりも高い額です。

また最低給与$3600で就労ビザが許可されるのは、シンガポール政府が認めた一部のトップレベルの大学を卒業した新卒及び数年程度の職歴の方(日本の大学では上位国公立大・上位私大中心)に限られ、他の大学を卒業した方は$4000~$5000程度の給与が必要になります。もちろんこの給料で新卒が採用されるのは、よほど希少性のある能力が無ければ不可能です。

EPよりも一段階低いSパスという就労ビザもあり、このビザであれば、最低給与は$2500以上の為、未経験の方でも採用されやすくなります。

但しこのSパスは就職する企業のシンガポール人スタッフ数の15%までと採用枠が決められており、その枠を持つ会社のみが取得対象になります。また枠があっても既にその枠を全て使っていることも多く、その場合、Sパスでその会社に就職することは出来なくなります。実感として全求人の1~2割程度がSパスの枠を持つ会社です。

2)企業は経験者を採用したい

こちらの求人の多くは即戦力の人材を求めています。日本のように新卒で採用して教育をしていく・・・という考えはほぼ皆無です。

多くの求人は、基本的に関連する仕事の経験者を求めており、未経験の場合でも社会人経験は必須である求人がほとんどです。

実際、過去にシンガポールで就職した留学生の皆さんのほとんどが日本での就労経験を評価され、関連のある仕事にシンガポールでも就いています。

その為、新卒の方は書類審査すら通らないということが多く、新卒でも面接してもらえる求人は、言い方は悪いですが、「日本人であれば誰でも良い仕事」や「離職率が高く新卒も応募可にしなければ人が集まらない仕事」といったマイナスの理由があることが多いです。

例えば、コールセンター(原則日本語のみの仕事。日本なら契約社員の仕事)の仕事です。
こうした仕事を希望されるのなら良いのですが、コールセンターでの経験は他職種に転職する際に経験として見てもらえないことも多いです。要するに、望んで新卒の日本人を採用しようとする企業は「ほとんどない」というのが現実です。

日本の大学を卒業したのであれば、日本の企業に新卒で入社するのが正社員として働くには最も簡単であり、また多くのことを学べます。日本企業は新卒採用に力をいれており、多くのお金を投資して、採用・新人教育をしています。給料を得て、更に学ばせてもらえるのが日本の新卒採用です。

一方、シンガポールなど海外で就職活動をする場合、「経験者もライバル」になります。未経験の新卒の方は「圧倒的に不利な立場」になることはご理解頂けるかと思います。日本で新卒なのに中途採用の募集に応募するようなものなのです。

新卒での海外就職は、「一生に一度与えられた新卒採用枠での就職チャンスを自ら捨て、あえて可能性が低い道を選ぶ」ことになります。その点は十分ご理解ください。

シンガポールで働くことを目指すのなら、日本で最低でも2年、できれば5年程度経験を積んだ後をお勧めします。面接までたどりつくことが出来る求人の数が新卒と比べ圧倒的に多くなります。

求人の多くはあえて日本人を採用する理由があります。日本語が出来ることはもちろんですが、「日本のビジネス習慣を体得していること」、これも大きな理由です。それゆえ、日本での職務経験はとても大切なのです。

同様のことは、シンガポールで人材紹介業をしている日本人の方のブログにも掲載されています。こちらもご覧ください。

http://ynccsingapore.blog.fc2.com/blog-entry-79.html

留学よりも海外で働くことが自分の大切な目標であるのなら、大学卒業後は、日本で就職することをお勧めします。理由は今まで書いてきたとおり、実践の経験を積むこと、特に日本的なビジネス習慣を身につけることが大切だからです。

職種・業種は、特に文系の方で興味のある職種・業種が無ければ、なるべくつぶしの効く仕事、具体的には、職種は営業系が良いと思います。業種は最も割合が多いメーカーや商社が良いでしょう。

若いうちはどうしても「海外就職」という結果を求めてしまいがちです。
しかし海外就職は「急がば回れ」です。日本で就職することが一見遠回りに見えるかもしれませんが、長い目で見たら決してはそうではないのです。

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