【Q&A】 シンガポールの地元小学校・中学校・高校に留学したいのですが

最近、子供をシンガポールの地元学校へ留学させたいのですが・・・というお問い合わせが増えています。シンガポールの地元学校に留学すれば英語・中国語が身に付く・・・という理由が多いのですが、必ずしもそうではないことを最初に説明させて頂きます。
なお弊社では地元学校への留学のお手伝いはご提供しておりません。

英語で学ぶ授業についていける英語を身に付けていること

シンガポールの地元学校(小中高)に入学するには、英語で各教科を学ぶ授業についていける英語を身に付けていることが前提条件になります。

シンガポールの地元学校(小中高)は、オーストラリアやアメリカの地元学校にある英語が母国語ではない生徒の為の英語クラス(ESLクラス)が設けられていません。外国人が入学する際は、英語・数学(算数)の入学試験が義務付けられています。

従って、シンガポールの地元学校に留学させれば、英語が身に付くのではなく、英語が身に付いていなければならないのです。

シンガポールの子供達は日本人が日本語で育つのと同様に英語で育っています。マスコミ報道で、シンガポールは小学校から英語教育、日本は遅れている・・・という記事等を読んで、子供のシンガポール留学に興味を持たれた方も少なくないと思います。

これはそもそも日本とシンガポールを比較すること自体が間違っており、シンガポールの小学校の英語教育は外国語としての英語教育ではなく、日本の小学校での国語教育と同じ位置づけで英語を学んでいます。

中国語も同様です。中国系シンガポール人の家庭では英語・中国語が飛び交っているのが一般的です。小さな頃から英語・中国語が当たり前の環境で育ち、幼稚園も英語・中国語教育、小学校でも、母国語の時間があり、そこで各民族別に、中国系シンガポール人は中国語、マレー系シンガポール人はマレー語、インド系シンガポール人はタミール語を学びます。

そのため、中国語が出来ない日本人がシンガポールの地元学校に留学して、中国語の授業についていくのは非常に困難だと言えます。

このようにシンガポールでは、日本人が国語の授業を受けるのと同じように、英語・中国語を学んでいます。

従ってシンガポールの地元学校は英語・中国語が出来ないから学ぶ場所ではないということになります。最初に「シンガポールの地元学校に留学すれば英語・中国語が身に付くわけではない」と申し上げたのもこれが理由です。

語学学校の入学準備コースに通う

しかし英語が出来ない外国人がシンガポールの地元学校に入学するのは不可能ではありません。
シンガポールには地元学校に入学を希望する外国人向けの入学準備コースを設けている語学学校があります。英語レベルが入学試験合格水準に達していない場合、最初にこの入学準備コースに留学することになります。

入学準備コースには、主に中国・インドネシア・ベトナム・韓国等の小中学生が学んでおり、入学試験の科目である英語・算数(数学)の授業があります。この入学準備コースに個人差はありますが半年から1年程度通い、入学レベルに達した後に地元学校の入学試験を受けます。

弊社がご紹介している語学学校の中にも入学準備コースを設けている学校があります。

学年を下げて入学する

シンガポールの地元学校はかなりの勉強第一主義です。特に算数(数学)には力を入れており、小学校から家庭教師をつけて勉強することも珍しくありません。理由は小学校の時点で今後の進学を左右する全国共通テスト(PSLE)の受験があり、その結果次第で、子供の将来が違ってくる可能性が大きいからです。

その為、無事、入学試験を突破しても、生まれた頃から英語で生活しているシンガポール人の中で学ぶのですから、英語のハンディはかなりあり、授業に無理なくついていくのは大変です。入学しても授業についていけなければ、本末転倒ですので、英語非ネイティブの外国人は学年を1つ下げて入学するケースは一般的です。

入学前に、語学学校の入学準備コースで学ぶことで、半年から1年、同学年の子供達より遅れるため、更に1年、合計1年半から2年程度、同学年の子供達より遅れることになります。

遅れることを気にしない場合でも、各学年には、〇才~〇才までと在籍できる年齢の制限があります。例えば小3は8才~10才、小5は10才~12才、中1は12才~14才といった具合です。年齢は入学する年の新学年が始まる1月1日時点での年齢です。

また、小6・中4・高2以降への入学は進学を見据え原則として入学が許可されません。

このように英語ができない状態でのシンガポールの地元校入学はかなり難しいのが現状です。
特に数年前からシンガポール政府は外国人の地元学校入学を制限するようになりました。地元学校はシンガポール人のための学校であるという考えからです。

そのため学校への入学もシンガポール人を優先、外国人は空きがある場合に限り、有名校への入学は事実上不可能です。授業料も大幅に値上げされ、インターナショナルスクールである日本人学校の授業料と同等レベルになりました。

そこまでして地元学校に入学する必要があるのかどうかをよく考えてみてください。特に英語・中国語を身に付けることが第一の目的の場合、例えば日本で高校卒業後に語学留学、その後、海外の大学に進学するという選択も考えられます。

一般的には外国人が地元学校へ入学するのなら、小1の時が最も入りやすいと言われています。その年齢であれば、英語のハンディも上位学年に比べて大きくありません。

子供を何人として育てたいか?

日本ではとかく小さなうちに英語を身に付けるべきと言われていますが、特に小学校・中学校の留学は、日本の学校でも日本人として学ぶべきこと、身に付けるべきことがたくさんある時期です。

シンガポールの地元学校に入学すると、もちろんシンガポール人としての教育を受けることになります。数学や科学は何語で学んでも違いはありませんが、語学(国語・文学)・社会(特に歴史)・道徳教育(しつけ)はそれぞれの国(政府)の考え方や文化で大きく異なります。

アメリカの地元学校で学べばアメリカ人としての教育、中国の地元学校で学べば中国人としての教育、シンガポールの地元学校で学べばシンガポール人としての教育を受けることになります。それは子供の思想・アイデンティティ形成に大きく関わってきます。

小学校・中学校での留学をお考えの方は、子供を何人として育てたいのかも良く考えてみてください。語学以上に大切なことであると思います。日本人として育てたい方は、シンガポールに限らず小学校・中学校での地元学校への留学は時期尚早だと思います。

親子留学、・幼・小・中・高校への留学について

 

カテゴリー: よく寄せられる質問, 親子留学について   パーマリンク